マイルスとコルトレーンの日々


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そんな就職率98%の高校を赤点だらけで卒業して(卒業式の前日まで追試してた・・)進学など到底出来る筈もなく、オレの浪人の日々が始まる。



お茶の水界隈の予備校に行き、悪友のTとオレで玄関前にある創立者の銅像の鼻の穴に煙草の吸殻を突っ込んで出席を確認し合った。

Tは右の穴にセブンスター、オレは左にショートホープが鼻の穴から突き出てれば「おっ、来てるな!」と学食を探したりしていた。



そんな日々にも飽きてオレは予備校を通り越して 神保町の古本屋街で70年代のATG(アート・シアター・ギルド)の映画についての雑誌を漁ったり、銀座並木座で一日小津安二郎の特集を観ていたりしてだらだらと過ごした。何故か邦画だった。


そんな自虐的な毎日に流れるBGMには、JAZZ以外考えられなかった。


そのどんよりとした不協和音が 一筋縄では行かない社会を垣間見るようでなんとなく大人になれた気がしてた。



JAZZ喫茶の常連は 会話厳禁で皆文庫本を読んでいた。

もちろん全員一人で来てる。

でも思うに 文庫本もJAZZも同時に全霊を込めてのめり込めるものじゃない。

どっちかは ただのカッコつけだったんだろう。

オレはもったいないから 深く腕を組んで目を閉じ聞き役に徹していた。

店のJBLの巨大スピーカーは リー・モーガンがその場でペットを構えた気配まで如実にオレに伝えてくれた。



本は本で 図書館に行き訳の解かる筈もない哲学書を意味もなくひたすら読み耽っていた。

その数年後、オレはJAZZの老舗雑誌が編集したフュージョン誌の入社試験問題に、一つの疑問もなく答えられるまでのジャズマニアになっていた。




オレにはあの日の放浪が必要だった

そしてまた突っ走って十数年後、結核になって看守の目を盗んでは病院を抜け出して彷徨い

その八年後の去年、リウマチを患い退職してまた素浪人を繰り返した




今現在、かつてない精神的肉体的にも過酷な仕事に毎日追われて本当にしんどい。

でもそれに耐えれるのは 多分それら放浪の日々があったおかげだろう。





Do not fear mistakes. There are none.

Miles Davis


失敗を恐れるな。そんなもんあるかよ!

マイルス デイヴィス






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